海底に沈む世界を救う為に異種間恋愛します
「アオ……」
「ん……」
「アオ?」
「……セラ?……父さんは?……たしか……」
「師匠なら今やるべき事をやる為に、1度深海に戻ってる……」
「戻ってくる?」
「あぁ……」
「そっか……よかった」


アオは嬉しそうな笑みを見せた。

「アオ」
「ん?」
「何か良い夢でも見たのか?」
「…んー…まぁ、ちょっと懐かしいのを見た」

アオはゆっくりと起き上がる。

「魔力を使い過ぎてる、体力がまだ回復してないうえに、肋骨が折れてるから動かさない方がいい……」
「……でも、次の闘い見たい……次シャクナゲでしょ??」
「声援が聞こえたのか?そうだが……なんでそこまでして見たい?」
「私の最初の研究というか……子どもの頃の自由研究だったけど、シャコについて研究したんだ。あの時はシャコを捕まえるなんて、子どもには危険な事だったから動画や写真しか見てなくて……もし、生でシャコのパンチを見られるならみたいなって」
「本来の姿ではないけどな」
「いいんだ、好きだから」
「分かった、会場の席まで俺が担ぐから」
「ありがとうセラ」

俺はアオを背中に背負い、医務室を後にした。
アオは会場に着くまでに、先程話した話の続きを俺に話した。

「もちろん、大人になってからもシャコを捕まえて、飼育してたんだけど、何故か私が見ないところでしかパンチをしなくて……」
 
懐かしかったのか楽しい思い出だったのか、アオが嬉しいそうにしてるのが、後ろから聞こえる声を聞いても分かる。

「ほら、話の途中だが着いたぞ」

ドォォォォォン!!

「まさか、メス如きがこの俺と互角に闘えるなんてなぁ!最高だなぁ!」
「お前こそ、図体デカい割には素早い動きが出来るじゃねぇか!」

シャクナゲとホウズキの拳と拳が、激しくぶつかり合い、互いに譲らない状態。
そして、闘技場はシャクナゲとホウズキの闘いで、観客の熱い歓声で盛り上がっていた。
 
「……凄い……アレがシャクナゲ……」

アオは闘技場で闘ってるシャクナゲの姿に惚れたかのように視線を外さなかった。
そんな歓声の中、俺らを呼ぶ者がいた。

「おー!!セラとアオだー!!おーいお前ら!!コッチ来いよー!!」
「エスパーダ……」

エスパーダや他の7天達がまとまって座っており、オレはアオをそこまで、アオを運び一緒に座った。

「どうだエスパーダ?」
「シャクナゲの奴もすげーが、一緒に闘ってるシャクナゲの番も中々だぞ?」
「ほう?シャクナゲの番の名は?」
「たしか……カネロ・アルバートって言ってたな」
「カネロ・アルバート!?」

アオが驚いたように、エスパーダの方をみる。

「なんだよアオ、知ってるのか?」
「知ってるもなにも、カネロは元WBA・WBC・WBO世界スーパーウェルター級王者で、さらに世界4階級制覇した、ボクシングを知らなくてもかなり有名なプロボクサーだ」
「なるほどな、シャクナゲが番にしたがるわけだな」
「いや、それだけじゃないらしいぜ?」

エスパーダは俺達に、シャクナゲとカネロの事を話した。

どうやら、シャクナゲはポセイドン様の目を盗んでは定期的に陸に上がっては、陸で行われていたボクシングを見に行ってたらしい。
まぁ、オーシャンにも似たようなものはあるが、どうやら陸のボクシングが面白いのは確かだ。
そんな、シャクナゲはボクシングで闘ってるカネロを見て惚れた。
人間ながらも、強靭な肉体に、どんなに窮地に追いやられても誰にも屈しなく拳。
そして、シャクナゲは思った。カネロと拳同士で闘いたいと……。
シャクナゲは飛び入り参加で、カネロのイベント試合に参加した。

『なぁ、お前ウチと拳で闘ってくれよ!』
『……女だと……俺は女には……』

シュッン!

『!?』
『女だからなんだ??ウチを甘くみると痛い目みるよ』

シャクナゲとカネロは拳をぶつけた。
もちろん、シャクナゲは本気は出さなかった。
出したら普通の人間だと殺しかねない。
だが、本気を出てないシャクナゲの拳でも、それなりの強さはあった。
もちろん、カネロにもそれは効いており、力の差でカネロが負けかけたときだった。
カネロは最後まで諦めず、身体全身を使い全力で拳を入れた。

ドッ!!

『んぐっ!?』
『はぁ……はぁ……あ!?しまった!!つい集中して……!君大丈夫か!!』

シャクナゲはリング上で倒れ、気を失ってしまったため、直ぐに担架で運ばれた。
そして、カネロはシャクナゲが目を覚めるまでそばにいた。

『たのむ……俺のばかぁ……こんなぁ……』
『アンタ、何落ち込んでるんだ?』
『!?!?』
『へへ……やっぱりアンタの拳……人間でもアンタくらいになったら、ここまで食らうとは思わなかった』
『え、ええ!?無事!?てか、傷!あれ?ない?なんで!』
『こんな傷なら大丈夫だ直ぐに自分でも治せる……』
『いやいや、治せるからって……。今タオル持ってくるから!顔に血ついてる!ほら……拭いて。……済まなかった……』
『なんでアンタが謝るんだ?アンタはウチの申し込みに勝ったんだ喜べよ』
『いや、喜べない……俺は女の子の君の顔に拳を入れてしまった。最低な男だ』
『……アンタ、ウチをメスとしてみてるのか?』
『め、メス!?いや、メスと言うか……女の子としてだよ!いや、一緒か!!なぜをそれを』
『いや、今まで闘ってきたからメスとして見られるのは初めてで……』
『そんな、き、君はどこをどう見ても可愛いらしい女の子だよ!むしろ、なんで格闘をやってるんだって思うくらいだよ!』
『か、かかか可愛いらしい!?!?////』

シャクナゲは今まで戦士として生きてきたから、異性であるカネロに、まさか初めてメス扱いされるとは思ってなく、カネロのシャクナゲを心配する言葉がシャクナゲの心を虜にした。
そして、カネロもシャクナゲの可愛いらしく逞しい姿に惚れた。
それから、正式にオーシャンバトルに参加する為にシャクナゲがカネロに番を申し込むと、カネロはプロボクサーを捨て、シャクナゲとともに歩む道を選んだ。
< 30 / 45 >

この作品をシェア

pagetop