海底に沈む世界を救う為に異種間恋愛します
ただならぬ殺気を背後から感じ、後ろ振り向くと窓らしき向こう側に、見覚えのある奴がいた。
赤い髪に、頬にはサメ特有のエラ…しかも古代ザメ特有の5本エラ。
そして、サメにしてはしなる耳鰭に尾鰭。
アイツは…。

「懐かしい匂いがすると思って、来てみたら…やはりてめぇか…セラ!!」
「最悪だな、よりによってエンヴィー…」
「え、ちょ、セラ!?ここ15階だよ!!アイツなんか飛んでる!?どうゆうこと!?」

アオは今の状況に驚きを隠せなくて、俺の方に直ぐに駆け寄った。
無理もない、目の前で陸の人間じゃ分からないような事が起きてるのだから。

「まさか、オーシャンバトルで130年振りに…てめーをぶっ殺せる日がくるとはなぁ!!」
「この感じ…まさか!?アオ!!」

ドゴォォォォォン!!

セラから凄まじい魔力の一撃が放たれ、俺はアオを庇う為に、シールドを発動しアオを素早く護った。

「…相変わらず、魔力だけは凄まじいな…大丈夫かアオ」
「っ…ん…セラ!?ちょ、どうなんっての!?そして、アイツなに!」
「やはり、7天の戦士なってるだけはあって、番が居なくても、それなりには力は出せるか」
「……エンヴィー、…お前のそのみなぎる力は…まさかもう番を!?」
「あ??そんなの今から死ぬてめーには関係ねーだろ!」

まずい…エンヴィーから感じるこの魔力の強さ、間違いなく、エンヴィーは俺より先に番を得ている。
番との戦い方によっては、エンヴィーの魔力もかなり強くなり、この俺でも今の状態では防げなくなる。
しかし、力が強くなるという事は、近くに番がいるはずだ。
俺は感知魔法を開くが、魔法に制限がかけられていて感知しにくい。

「…まさか先に番をねじ伏せようとしてるか?やめとけ…番がいないてめーは、力の制限がかけられてる。それにだ、俺がお前に易々と番の居場所を教えるわけがないのを、てめーが一番知ってるはずだ」
「っ……」

俺達オーシャンバトル参加者は陸への均衡を崩さない為に、互い神から力を制御する呪いをかけられている。
本来の力を発揮するには、陸にて番を見つけて契りをする。
契りを終えた番は、制限の呪いが解かれ、互いの肉体と精神と能力を共有し、互いの同調が高ければ高い程力を最大限に引き出すことができる。
しかし力を引き出すには代償が大きく、番の陸の人間かまたは俺達が死ねば力は失いロスト扱いされる。

「それにしても、お前は本当に馬鹿だよなぁ…番もロクにもたず、力も発揮出来ねぇ…」
「……」
「戦えず逃げることしか出来ない…その上にだ!番でもなんでもないただのメスに被害が出ないように護るだけのお前に何が出来る」

エンヴィーの言うとおりだ。
今の俺じゃエンヴィーにまともに戦えない。
戦ったところで、勝ち目がないのが目に見える。
しかし、流石にこれ以上アオの住処で闘う訳にはいかない。
俺はアオを確認する為に振り向いた。


「アオ…ん?アオ?」

さっきまで後ろにいたはずのアオの姿が見当たらない。

「どっかの、ポセイドンのクソジジィは天海と深海の均衡を保つためだとか言ってたが俺にはかん…」
「いい加減にしろよぉこのやろぉぉぉぉ!!!」
「!?!?」

ドス!!!

「んぐぅ!!?」

アオは俺が知らないうちにエンヴィーの真横から、小さいながらも、誰もが驚くような勢いがあるドロップキックをエンヴィーの顔にぶち込んだ。
その姿が可愛らしいくもあり勇ましかった。

「てめぇ!!人の家をボロボロにした上に演説みたいにぺちゃくちゃぺちゃくちゃうるせーんだよ!!しかもお前、その耳鰭に尾鰭…てめぇ、ラブカじゃねーか!!」
「この…よくも…このメス!!ルールなんか関係ねぇ!!なにが均衡だ!!…てめーから死ねぇ!!」

バギィ!!

エンヴィーは怒りのあまりに、アオの腹に素早く蹴りを入れ、アオは勢いよく外へ蹴り飛ばされた。

「んぐぅ!?」
「しまった!!アオ!!クソ!!、エクレール!!」
「ち、しま」

ピカァァ!!

同時に、俺は咄嗟にエクレールをエンヴィーの真正面に使い、隙をついて素早くアオの後を追った。

「アオ!!」

まずい、エンヴィーの蹴りの一撃で気を失っている!!このまま、地面にぶつかれば確実に死ぬ!!
俺は、アクセレイションを使い建物伝いでアオに追いつき、素早くアオを抱く抱え、無理やり建物を勢いよく蹴りその場から離れるようにした。
そして、確実に無茶な着々になるから、衝撃に備えて防壁魔法を背中に出した。

ドゴォォォォォン!!

凄まじい音と同時に地面に叩きつけられた。

「っ…アオ…大丈夫か!!」

腕の中にいるアオを確かめる。
 
「くっ…つ…ガハッ」
「…!?まずい…肋骨が肺に刺さってる…」

アオは血の気を引き苦しい表情をして、口からは予想以上に吐血をしている。
エンヴィーの一撃が軽かったのか、運が良かったのか陸の人間がこの程度の傷で済んだのは幸いだ。
アイツが本気に殺れば、アオは姿諸共消えていた。
しかしまだ、治療すればアオの命は助かる…。
だが、俺はまだ番を得てない。
今の俺は治癒魔法は使えない…使えるようになる為の方法は…ただ1つだけ。

「…強引だが、巻き込んだ以上仕方ない…」

俺は血で紅く染まったアオの唇に、自身の唇を重ねて離れ、詠唱をした。

「汝の肉体と魂を礎に 陸と海への導き。 祖は我がシーラカンスの元へ。
汝の魂を7つの海が導き、我が母なる海へと至り循環せよ。
汝の身は我が下に、我が運命は汝の双璧に。
神の誓い従い、この意、この理に従うならば応えよ
誓いを此処に 我は天海7天の双璧と成る者として契約を結ぶ」

アオの身体が光輝き、身体全体に契約の呪文が刻まれていき、アオの右腕に契約の印が刻まれた。

「契約は成功した…やり方は強引だったが、助けるためだ仕方ない…」

連続で更にアオの傷を治していく…。
肺の辺りに手をかざし、クーアをかける。
ゆっくりとアオの表情は落ち着いくのを確かめながら、傷に自身の魔力を流し込むようにし、傷を癒していくが…。

「!?!?…なんだ…この感覚…やけに魔力の放出が高い。契約したばかりだからか?こんな…いや、そんなことどうでもいい、とりあえず早く治すぞ」

自身の魔力はコントロールしてるはずなのに、魔力がアオに吸われるような放出ヲして、俺はアオの傷を治すために、集中し少しずつアオの傷を治していった。
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