海底に沈む世界を救う為に異種間恋愛します
セラの治癒魔法の光で、エンヴィーはセラとアオがいる居場所を見つめた。

「エンヴィー、今ならまだ奴らを殺れるよ?いいの?」
「……」

エンヴィーの瞳には先程の殺意が消えていた。
その様子は、少しだけ安心した様子だった。

「エンヴィー?」
「どうせまた必ず、アイツらと殺り合う日がくる、その時は殺す」

口に出した言葉と様子が相反しながらも、その場を後にした。


そして、セラは傷を直しアオの目が覚めるまでしばらく待っていた。

「……ん…ここは?」
「目が覚めたか?」
「セラ…私一体…ここは?」
「お前の住処の近くの山だ、エンヴィーなら番と共に住処から離れたみたいだから大丈夫だ」

アオはゆっくりと起き上がる。

「お前は、エンヴィーに一撃食らわされて、死にかけた…お前の命を助けるためだったが、無理やり契りをして俺の魔法で治した」
「契り…契り!?」

顔を赤らめながら、警戒するようにばっと身を守るような動作をするアオ。

「あったばかりなのに契り!!?ちょっと!!セラ!!」
「お前なんか勘違いしてないか…?」
「だって、契りって!!」
「あー……そうか、そっちだとそう捉えられるよな…別にお前と交尾した訳では無い。右腕を見てみろ契りの証があるはずだ」
「証……?」

アオは右腕をゆっくりと確認した。
そこには契りの証である俺の一族の印が刻まれていた。

「戦いに…お前を助ける為とは言え、オーシャンバトルに無理矢理巻き込んですまなかった。しかし、俺とお前は番だ。この件も俺の責任でもあるし、俺が巻き込んだ分お前が死なないようにまも…」
「オーシャンバトル!?何だそれ?!あの昨夜のやつがセラに攻撃したのってそれ!?ちょっとくわ……んっ!?」

俺はアオの好奇心で煩い口を唇で塞いだ。

「んっは!…ちょ、いきなり!!てか私のファーストキス!!」
「ファーストキスは契約の時に俺が貰ってしまった。番になった以上お前は俺の一生のメスで、どちらかが死なない限り番契約は解除されない」
「え?……メス?メスってことは…」
「陸の人間に分かりやすく言うなら、俺の妻でもあるし彼女でもある…言葉的に近いやつは妻だな」
「妻ってことは…まさか…繁殖もしないといけない?」
「もちろん。あ、陸の人間ってのは分かるから俺ら天海人みたいに一気に産ますのはないから安心しろ…」
「安心出来るかぁ!てか、なんだよこれ!190cmイケおじのシーラカンス男助けたら、ラブカ男にいきなり奇襲されるし、なんなら私は死にかけて、助けるためにファーストキスを奪われて契約されて、シーラカンス男の妻!!」
「おじさんではない…嬉しくないのか?お前、生まれてきて異性関係なかったろ?」
「なんで彼氏歴も知ってだよ!!」
「契り時には陸の人間の記憶が情報として多少入ってくるからな」
「あぁープライバシーとはなんだよ!!!!」

1人ツッコミしてるアオを俺は呆れながらもゆっくりと抱き上げ、腕の中に収まるアオは、急な事で少し動揺が隠せない表情になった。

「1人ツッコミしてる所で水を差す様なこと言うが、お前俺の事好きだろ?」
「っ!?////はぁ!?////」

アオの顔はさらに茹でタコの様に真っ赤になり、腕の中でアタフタする。

「言わなかったが、契りは必ずしも成功する訳ではなくて、互いに好意や愛がなければ出来ない仕組みなんだ、それが成功したってことはお前は俺に好意がある事だ」
「な、なんだよその仕組み……」

その様子だと、好意を抱いてたのをバレたことに少しだけ呆れるアオ。

「嫌か?俺はお前の事好きだがな…契ったからとかではなくて…あの時、エンヴィー相手にまともに闘えてない俺を気にしないで、エンヴィーの顔にドロップキックを入れた上に怒鳴りつけるところに惹かれてしまった…あとチャーハンが美味いのもある」
「……っ…恥ずかしいからあんまり言わないでくれ」

恥ずかしさからか、顔を背けるアオ。
俺より小さくて可愛らしく男勝りな俺の番…。

「大丈夫だ、番になった以上俺はお前を絶対に守り抜くから、これからもよろしくなアオ…」
「もう、私はなんにも突っ込まない…うん…ただ恥ずかしい」

こうして、俺はアオと出会い番になった。
そしてこれから続くオーシャンバトルに俺とアオは挑むのであった。
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