極秘の懐妊なのに、クールな敏腕CEOは激愛本能で絡めとる
(俺に言わないってことは……俺の子じゃないんだろう)
 それでも、やつれた様子なのがどうしても気になって、昨日はお土産とお裾分けを口実に二葉を訪ねた。
 そうしたら、子どもの父親は二葉の部屋におらず、二葉を気遣っている様子もなかった。そんな男に二葉を任せたくない。
(君が好きだ、俺がその子の父親になるって言いたかったが……)
 妊娠していることを隠そうとしたということは、奏斗にプライベートなことを知られたくないということなのだろう。
 奏斗が悩んでいるのを見て、功成はあっさりと言う。
「だったら、奪い取ればいいのに」
「俺の勝手な気持ちで、好きな男から彼女を引き離せないだろ」
「その好きな男って、本当におまえじゃないのか? おまえ、『あのとき俺たちが惹かれ合ったのは、運命としか言いようがない』とかクサいことを言ってたくせに」
 奏斗は右手で顔を覆った。
「……言ってたな」
 功成はバーテンダーに合図をして、奏斗のお代わりを注文した。新しいグラスが置かれ、功成は奏斗の腕を肘で軽く押す。
「まあ飲めよ。俺のおごりだ」
「ありがとう」
 奏斗がバーボンに口をつけるのを見て、功成は話の続きに戻る。
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