極秘の懐妊なのに、クールな敏腕CEOは激愛本能で絡めとる
(会いたい。俺が二葉を幸せにしたい……。二葉のお腹の子が俺の子どもだったら、二葉も俺を受け入れてくれただろうか。そもそも本当に俺の子じゃないのか? だが、それなら、二葉は俺の目からマタニティマークを隠したりしないはず……。じゃあ、なぜ隠したんだ?)
 酔いが回ってきて、思考が停止しそうになりながらも、奏斗は懸命に二葉のことを考えた。その間も、功成からの質問は続く。
「だったら、利用する路線が違うのか?」
「ああ、違う」
「それじゃ、すれ違ったことはないか。ちなみにどの辺りに住んでるんだ?」
「ここからそう遠くはない」
「そうか。まあ、飲めよ」
 功成に勧められ、奏斗はやり場のない思いをごまかすように、アルコールを喉に流し込んだ。


***


 奏斗が帰った翌日の月曜日。二葉は朝からなにもする気になれなかった。眠くて体が重いだけじゃなく、心も沈んでいる。
 それでも、毎月請け負っている企業のニュースレターの翻訳を進めて、どうにか納品した。夕方になってどうしても眠くなり、ソファで横になる。そのまま眠ってしまったらしく、インターホンの音で目が覚めた。
(誰だろ……)
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