極秘の懐妊なのに、クールな敏腕ＣＥＯは激愛本能で絡めとる

「違います」
　二葉の返事を聞いて、功成は自由な方の手で前髪をくしゃっと握った。
『まじかーっ。俺、奏斗がどこに住んでるのか知らないや。家族の連絡先もわからないし。困ったなぁ。どうしたらいいんだろう。俺、これから顧客の一人と会わなきゃいけないのに……』
「それはお困りとは思いますが……」
『あ、そうだ。奏斗の酔いが醒めるまで、しばらく部屋で休ませてやってくれないかな？　俺、あとで迎えに来るから』
「えっと、そうですね、少しの間なら……」
　二葉が迷いながら答えると、明るい声が返ってきた。
『よかった！　助かるよ！　じゃあ、開けてくれるかな？』
　功成に催促されて、二葉はオートロックの解除ボタンを押した。玄関に行ってドアを開けて待っていたら、少しして功成が奏斗に肩を貸しながら歩いてきた。
「君が二葉さん？」
　功成は親しげな口調で言った。
「あ、はい」
　功成は肩にかけていた奏斗の腕を揺する。
「おい、奏斗、着いたぞ」
「うー……ん」
　奏斗は眠いのか酔って朦朧としているのか、唸るような声を出しただけだった。
「二葉さん、ちょっとこいつ、寝かせてやってよ」
「わかりました」
　二葉は一瞬迷ったが、功成と奏斗を自分の部屋に案内した。酔っ払って脱力している奏斗を、狭いソファに寝かせるのは気の毒だと思ったからだ。