極秘の懐妊なのに、クールな敏腕CEOは激愛本能で絡めとる
 気づけば二葉も夢中で彼の唇を貪っていた。
 やがて唇が離れ、奏斗の手が涙で濡れた二葉の頬を撫でる。
 こんなにも彼のキスに応えておいて、今さら気持ちをごまかしようがない。
 二葉が唇を引き結んで視線を落としたとき、奏斗は二葉の額に彼の額をコツンと当てた。
「二葉がこんなに頑固で意地っ張りだなんて思わなかった。思ってた人とちょっと違う」
「えっ」
 奏斗は二葉の両肩を掴んで彼女の目を覗き込んだ。
「二葉が俺のことを思ってた人と違うと感じたように、俺だってこれからもそんなふうに思うことがあるかもしれない。でも、それは俺たちがまだ出会ったばかりだからだ。〝違う〟って感じるのは新しい発見をするのと同じだろ? 二葉にはこんなところがあるんだって、二葉の新たな一面を知る。二葉のことをもっと深く知ることができる。俺はそれを嬉しいことだと思う」
 奏斗の言葉に二葉はハッとした。
「そんなふうに……」
 二葉が思わず呟くと、奏斗は優しい口調で問いかけた。
「考えたことなかった?」
 二葉はこくりと頷いた。
「二葉は俺のなにがぜんぜん違うと思ったのか、教えてほしい」
 奏斗に訊かれて、二葉は素直に答える。
「私とはぜんぜん違う世界の人だと……思いました」
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