極秘の懐妊なのに、クールな敏腕CEOは激愛本能で絡めとる

掴めない距離感

 そうして奏斗と本音を打ち明け合った翌日の夜、彼は仕事終わりに、必要最低限の荷物だけ持って二葉の部屋にやってきた。
 着いて早々、奏斗は両親の写真に手を合わせる。
「二葉さんがいつも笑顔でいられるように、絶対に幸せにすると誓います。二葉さんが安定期に入ったら、俺の両親にも挨拶をして、婚姻届を提出します。それまで二葉さんをそばで支えたいので、一緒に暮らすことをお許しください」
 奏斗が両親の写真に語りかける言葉を聞いて、二葉は胸がじんわりと温かくなった。
「ありがとうございます。奏斗さんは和室を使ってくださいね」
 二葉はリビングとつながっている和室に奏斗を案内した。
「えっと、寝るのはどうしましょうか。その、私のベッドは狭いんですけど、一緒に寝ようと思えば、寝られますけど……」
 二葉は頬を染めながら言った。
「二葉と一緒がいいに決まってる」
 奏斗の言葉を聞いて、二葉の心臓がドキンと音を立てた。
「そ、うですよね。あ、それじゃ、ご飯の準備をしますね」
「いや、俺がやる。二葉は座ってて」
「あ、いえ、今日は調子がよかったので、冷蔵庫にあった材料を使ってポトフを作ったんです。だから、温めればすぐに食べられます」
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