極秘の懐妊なのに、クールな敏腕CEOは激愛本能で絡めとる
「それは嬉しいな。ありがとう。でも、無理してないか?」
 奏斗は心配そうに二葉の顔を覗き込んだ。
「無理はしてません」
「ほんとに?」
「はい」
 それでも奏斗が心配そうなので、二葉はもじもじと指先を絡めながら言う。
「奏斗さんが来てくれるって思うと嬉しくて、なんだか体調がいいみたいなんです」
 次の瞬間、二葉は奏斗の腕の中に閉じ込められていた。
「嬉しいことを言ってくれるんだな」
 奏斗は腕を解いて、二葉の唇にキスをした。二葉はただいまのキスのような軽いものを想像していたが、奏斗の唇は離れない。それどころか、彼の手が後頭部と腰に添えられ、唇を割って彼の舌が差し込まれた。
「んっ」
 口内を撫で回され、深く口づけられて、二葉は奏斗のスーツの袖をキュッと掴んだ。
「二葉……」
 奏斗の手が二葉の背中を撫でる。大好きな人に触れられて体温が上がり、腰の辺りに触れられたとき、体がビクリと震えた。
「あぁっ」
 久しぶりの甘い刺激に二葉が思わず高い声を上げた瞬間、奏斗はハッとしたように唇を離した。
「奏斗さん?」
 大好きな人の柔らかな温もりを、まだまだ味わっていたかったのに。
 二葉は名残惜しさを感じながら彼を見上げた。奏斗は目を閉じてゆっくりと息を吐き、そっと目を開ける。
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