極秘の懐妊なのに、クールな敏腕ＣＥＯは激愛本能で絡めとる

「ああ、ごめん。ポトフを作ってくれたんだよね。お腹ペコペコだ。上着を脱いでくるよ」
　そう言った奏斗の声も表情も落ち着いているように見えた。
（そんなに……お腹空いてたんだ）
　それなら仕方がない。
　二葉は気を取り直してキッチンに向かった。ポトフを温めて直していたら、奏斗が上着を脱いでキッチンにやって来た。
「手伝うよ」
「それなら、バゲットを切ってトースターで焼いてくれますか？」
「わかった」
　奏斗はバゲットをパンナイフでカットしてトースターに入れた。その間に二葉はポトフを皿に盛りつける。
　トーストが焼けたので、二人ともテーブルに着いた。
「いただきます」
　奏斗がスプーンを取り上げるのを、二葉はドキドキしながら見守る。
　考えてみたら、これが初めて二葉が彼に振る舞う料理なのだ。
（口に合わなかったらどうしよう……）
　奏斗はポトフを口に入れようとしたが、二葉の視線に気づいて彼女を見た。
「食べないの？」
「あ、食べます」
　二葉はスプーンを手に取った。
「よかった。食欲がないのかと心配した」
　奏斗は言って、ポトフを口に入れた。
「うまい」
　奏斗が思わず、といったように呟き、二葉はホッと息を吐いた。
「お口に合ったみたいでよかったです」