極秘の懐妊なのに、クールな敏腕CEOは激愛本能で絡めとる
「でも、私と話すといつも言い争いになったのに」
「他人の俺だからよかったのかもしれない」
「そっかぁ……そうなのかも……」
 少し寂しいけれど、彼の言う通りかもしれない。近い関係だからこそ、理解してもらえないことがもどかしくて、互いに感情的になってしまったのだろう。
 二葉は肩越しに奏斗を見上げた。
「奏斗さん、本当にありがとう。奏斗さんのおかげで、一生わかり合えないと思っていたおじいちゃんと仲直りできた」
「おじいさんにも言ったけど、二葉の幸せが俺の幸せなんだ」
「奏斗さんの幸せも私の幸せだよ」
 二葉が感謝の気持ちを込めて見つめたら、奏斗は二葉の唇にチュッとキスを落とした。
「それじゃ、これからもっともっと幸せになろう」
「うん。奏斗さんとこの子と一緒なら、絶対に毎日幸せだよ」
 その確信に胸が熱くなる。そして目頭も。
 今日は奏斗に泣かされてばかりだ。 
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