極秘の懐妊なのに、クールな敏腕CEOは激愛本能で絡めとる
『君、日本人?』
 身長百八十センチくらいありそうなその男性は、少しぎこちなさのある英語で話しかけてきた。
『あ、はい』
『君の髪、まっすぐで艶があって、すごくきれいだね。瞳の色も神秘的だ』
 見ず知らずの男性に褒められ、二葉は困惑して黙っていた。
 二葉がなにも言わないからか、男性は話を続ける。
『電話の内容が聞こえたんだけど、君、困ってるんだよね。助けてあげようか?』
『えっ?』
『俺も英語を勉強しにロンドンに来てるんだ。シェアハウスに住んでるんだけど、ルームメイトが出て行ってしまって、困ってたんだよ。君が泊まってくれたらすごくありがたいな。シェアハウスだからホテルよりも安いよ。君も助かる、俺も助かる。いいことずくめじゃないかなぁ』
 男性は二葉の肩をスッと撫でた。二葉はビクッとなる。
 彼が本当に親切で申し出てくれているのなら悪いと思うが、彼の馴れ馴れしい雰囲気に警戒心を覚えて、断りの言葉を述べる。
『いえ、私はロンドンに長期滞在する予定ではないので結構です』
『遠慮しなくていいよ。二日でも大丈夫。君、泊まるところがないんだろう? 泊まるだけじゃなく、いろいろ楽しませてあげるからさぁ。ぜひおいでよ』
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