極秘の懐妊なのに、クールな敏腕CEOは激愛本能で絡めとる
ガイドブックや雑誌で見るような三段になったティースタンドで、伝統的なサンドイッチやスコーン、スイーツを食べながら紅茶を飲んでみたいとずっと憧れていた。
その思いと空腹に押されて、二葉はそろそろと顔を上げた。
まだ頬に赤みの残る二葉を見て、奏斗と名乗ったその紳士は、口調同様、穏やかな笑みを浮かべる。
「あなたは二葉さんでしたね?」
「あ、はい、栗本二葉と言います」
「それじゃ、二葉さん、行きましょうか」
それまで〝二葉さん〟と呼んでいたからか、彼は当たり前のように名前を呼んで、二葉のスーツケースのキャリーバーに手をかけた。
「あっ、重いですよ」
二葉が慌ててキャリーバーに手を伸ばすと、奏斗は少し眉を寄せた。
「さっきの男みたいに、スーツケースを盗もうとしたりはしませんよ」
不満そうに言われて、二葉はさらに慌てる。
「あっ、そうじゃなくてっ。衣類もたくさん入ってますし、なにより本もぎっしり詰めてるんで、ほんとに重いんですっ。そんなのを持たせるなんて申し訳なくて……っ」
二葉が言い訳するように早口で言うと、奏斗はふっと表情を緩めた。
「冗談です。こう見えて君より力は強いはずなので、頼ってください」
「えっ」
「いいですね?」
奏斗は念を押すように二葉に顔を近づけた。その表情と言葉が頼もしくて、二葉の胸が小さくトクンと音を立てた。
その思いと空腹に押されて、二葉はそろそろと顔を上げた。
まだ頬に赤みの残る二葉を見て、奏斗と名乗ったその紳士は、口調同様、穏やかな笑みを浮かべる。
「あなたは二葉さんでしたね?」
「あ、はい、栗本二葉と言います」
「それじゃ、二葉さん、行きましょうか」
それまで〝二葉さん〟と呼んでいたからか、彼は当たり前のように名前を呼んで、二葉のスーツケースのキャリーバーに手をかけた。
「あっ、重いですよ」
二葉が慌ててキャリーバーに手を伸ばすと、奏斗は少し眉を寄せた。
「さっきの男みたいに、スーツケースを盗もうとしたりはしませんよ」
不満そうに言われて、二葉はさらに慌てる。
「あっ、そうじゃなくてっ。衣類もたくさん入ってますし、なにより本もぎっしり詰めてるんで、ほんとに重いんですっ。そんなのを持たせるなんて申し訳なくて……っ」
二葉が言い訳するように早口で言うと、奏斗はふっと表情を緩めた。
「冗談です。こう見えて君より力は強いはずなので、頼ってください」
「えっ」
「いいですね?」
奏斗は念を押すように二葉に顔を近づけた。その表情と言葉が頼もしくて、二葉の胸が小さくトクンと音を立てた。