極秘の懐妊なのに、クールな敏腕CEOは激愛本能で絡めとる
紳士の正体
「俺の次の夢は、建材の調達から解体まで、建物のライフサイクル全体で二酸化炭素の排出量をゼロにするオフィスビルを造ることなんだ。そのために今、建設会社との協力を進めている」
奏斗がベッドの上でシャンパングラスを片手に熱心に語るのを、二葉は何度も頷きながら聞いてくれる。彼女は肩からかけたブランケットで胸元を隠しながら、ベッドの端に座っていた。
「屋上の緑化とかはよく聞くけど、それだけじゃ排出量はゼロになりませんよね?」
「そうなんだ。資材製造時や解体時の排出量もゼロにしなくちゃいけないから」
「じゃあ、建設に関わるすべての企業の協力が必要ですよね。大変そう」
「確かに大変だ。だけど」
奏斗がチラリと二葉を見ると、彼女は思わせぶりに笑った。
「ワクワクする?」
「ワクワクする」
彼女の疑問の言葉と奏斗の言葉が重なった。
「そう言うと思いました! 私もね……」
二葉は言いながら、ブランケットを体に巻きつけてベッドから下りる。なにをするのかと見ていたら、ソファに置いていた彼女のバッグから、分厚いペーパーバックを取り出した。
見覚えのある表紙だ。
神秘的な中世の古城が描かれた本で、斜めに折り目がついている。
奏斗がベッドの上でシャンパングラスを片手に熱心に語るのを、二葉は何度も頷きながら聞いてくれる。彼女は肩からかけたブランケットで胸元を隠しながら、ベッドの端に座っていた。
「屋上の緑化とかはよく聞くけど、それだけじゃ排出量はゼロになりませんよね?」
「そうなんだ。資材製造時や解体時の排出量もゼロにしなくちゃいけないから」
「じゃあ、建設に関わるすべての企業の協力が必要ですよね。大変そう」
「確かに大変だ。だけど」
奏斗がチラリと二葉を見ると、彼女は思わせぶりに笑った。
「ワクワクする?」
「ワクワクする」
彼女の疑問の言葉と奏斗の言葉が重なった。
「そう言うと思いました! 私もね……」
二葉は言いながら、ブランケットを体に巻きつけてベッドから下りる。なにをするのかと見ていたら、ソファに置いていた彼女のバッグから、分厚いペーパーバックを取り出した。
見覚えのある表紙だ。
神秘的な中世の古城が描かれた本で、斜めに折り目がついている。