極秘の懐妊なのに、クールな敏腕CEOは激愛本能で絡めとる
『おじいさんだって後悔しているかもしれません。だけど、頑固な人ほど、一度張った意地を曲げることが難しいんだと思いますよ』
 古谷の言葉を聞いて、二葉は細くゆっくりと息を吐き出した。
(正直、まだわだかまりはあるけど……折れることができるとしたら、私の方だろう)
「わざわざご連絡ありがとうございました。祖母に連絡してみます」
 二葉が言うと、スマホの向こうの声が明るくなった。
『ぜひそうしてあげてください! 奥さん、お孫さんから連絡があったら、きっとすごく喜ぶと思います』
 古谷が『念のため』と言って祖母の携帯番号を教えてくれたので、二葉はもう一度礼を言って通話を終了した。
(おじいちゃんが入院……)
 正直、祖父のことは父から聞いた話しか知らない。幼い頃、『すごく偉い学者さんなんだよ』『なんでも知ってて、書斎にたくさん本があるんだ』と父が話してくれた。
 けれど、小学校低学年のときに家族で祖父母に会いに行ったとき、祖父は書斎に閉じこもって出てこなかった。二葉は書斎にたくさんあるという本を見せてもらおうと楽しみにしていたのだが、顔を見ることすらできなかった。
 祖父がそんな態度を取った理由を父から聞いたのは、高学年になってからのことだった
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