極秘の懐妊なのに、クールな敏腕CEOは激愛本能で絡めとる
 奏斗の声が耳に蘇る。
(まだ一ヵ月しか経ってないけど……連絡してもいいかな……? それとも、もうとっくにほかに恋人ができてたりして……)
 圭太郎は一ヵ月経つ前に浮気をした。
 それまで『二葉がいなければなにもできない』なんて二葉にべったりだった圭太郎が、会えなくなったとたんに心変わりしたのだ。
 時間はあんなにも簡単に恋心を冷ましてしまう。
 奏斗だって……そうかもしれない。
 連絡したいと思う反面、連絡して冷たくされたら、と思うと怖くてたまらない。
(連絡するかどうかは……日本に帰ってから考えよう……)
 二葉は眠気と気だるさに負けて、そっと目を閉じた。



 関西国際空港に到着したのは、翌日の昼過ぎだった。ロンドンから乗り継ぎの待ち時間を含めて約十八時間のフライトだったので、さすがにくたくただ。
 祖母に連絡してから三日が経っている。その間、祖母から頻繁にメッセージがあり、祖父は急性心不全で緊急搬送されたが一命は取り留めたこと、検査をしたところ、冠動脈に狭窄があることがわかり、カテーテル手術を受けたこと……など、経過が知らされた。
(とりあえず無事に帰国したってことは伝えておこう)
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