怪盗ベルにおまかせ!
光井くんは、わたしに向けていたカメラをゆっくりと下ろした。


「そのトロフィーは、この学校や校長先生にとってとても大事なものらしいんだ。だから、もとの場所に返してくれるか?」

「そ…、それはもちろん…!」


そう返事をして、思わず口を手でおおった。


しまった…!

怪盗ベルの姿のまま、直接光井くんと会話しちゃった…。


正体がバレるかもと焦ったけど、光井くんはとくに変わった様子は見せなかった。


「よかった」


かわりに、フッと微笑んだ。


光井くんの笑った顔…。

もしかしたら、初めて見たような気がする。


「トロフィーを返してくれるなら、俺も今回怪盗ベルに会ったことは伏せておくよ。今、録画している映像も途中から消しておく」


てっきり今の出来事を配信動画に上げられると思ったから、ほっとひと安心だ。
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