怪盗ベルにおまかせ!
〈どうかなぁ…。でも、気づかれてはいないみたい〉


わたしが光井くんに気づかれなかったのは、すべては芹那ちゃんのメイクとヘアアレンジのおかげ。

まさか、目の前にいる怪盗ベルが、前の席の地味な日暮鈴だなんて思いもしないだろうし。


ということで、トロフィーは無事に取り返した。

今はミックスリレーの1つ前の競技をしていて、どうにか間に合いそう。


――だけど。

このトロフィーをどうやってもとの場所へ返そうか…。


怪盗ベルの姿のままグラウンドに出るわけにはいかないし、体操服に着替えたとしてわたしがトロフィーを置きにきたら…おかしいよね?


〈悠、どうしたらいいと思う…?〉

〈それなら、オレにいい考えがあるよ〉

〈ほんとっ?〉

〈うん。もうすぐでそっちに着くと思うから〉
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