怪盗ベルにおまかせ!
〈こっちに…“着く”?〉


悠の言葉に首をかしげていると、足元でなにかの気配を感じた。

ゆっくりと見下ろすと――。


「ニャ~」


それは、おすわりしてわたしを見上げてかわいく鳴くマリンだった。


「マリン、どうしたの!こんなところまできて」


わたしはマリンを抱きかかえる。


〈オレが頼んだんだ。ねえちゃんの手助けをしてやってくれって〉

〈それで、ひとりで学校まできてくれたの!?〉

「ニャ~!」


…なんていい子なの!


わたしは、マリンの顔に自分の頬をすり寄せた。

マリンもうれしそうにのどをゴロゴロと鳴らしている。


マリンがいれば、なんとかなりそう!


わたしは物陰に隠れて、怪盗ベルの姿から体操服へと着替えた。


そのあと、マリンは本部のテントに向かい、わたしの指示どおりにそこではしゃぎ回り、その場にいた人たちの注目を集める。
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