怪盗ベルにおまかせ!
声でバレたりしない…?


「…あれ?なんか怒ってる?」


その問いに、わたしは無言で首をブンブンと横に振る。

なにも話さないわたしに、首をかしげる光井くん。


「ここで待機してたらいいのかな?」


光井くんがわたしの隣にしゃがむ。


「…うん!そうみたいダヨ」


声をごまかそうと、わたしは裏声を使って話した。

すると、光井くんがクスッと笑う。


「日暮さんって、そんな変な声出すようなキャラだっけ?」

「い…いや、べつにっ…」


とっさに、いつもの声が出てしまった。

はっとしたけど、光井くんの表情に変わりはない。


「ここに並んで、順番がきたらバトンもらいにトラックの中に入るってことか」


周りの状況を確認しながら、1人つぶやく光井くん。

どうやら、声だけではバレていないようだ。
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