怪盗ベルにおまかせ!
だから、そのあとはいつもどおりに話せた。


「そういえば日暮さん、両膝をケガしたんだって?さっきそこで聞いた」

「あ〜…、たいしたことではないんだけど」


実際のところ、なんともないから。


「それよりも、わたしも聞いたよ?光井くん、悪い人たちを捕まえたんだって?」

「どうしてそれを?」

「まぁ…聞いたっていうか、さっきそこで先生に話しているのが聞こえたっていうか」


本当は、怪盗ベルのわたしがそうお願いしたんだけどね。


そして、いよいよミックスリレーの始まりのピストルが鳴る。

光井くんは競技を見守りながら、ふとため息をつく。


「捕まえただなんて、そんな聞こえのいいものじゃないよ。俺はただ…頼まれただけだから」


自分の手で捕まえたわけじゃない。

怪盗ベルが関わっていたことを隠すために、そういうことにしているだけ。
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