怪盗ベルにおまかせ!
普段からあまり怒らない悠も、さすがに頭にきているようだ。


だけど、依頼がなければ怪盗ベルは姿を現すことはできない。

その間に、偽ベルがまた悪さをする。


歯がゆい気持ちでいっぱいだった。


――そんなある日。


「ねえちゃん!これ見て!」


隠し部屋でパソコンをいじっていた悠が、手招きしてわたしを呼ぶ。


「どうかした?」


わたしは悠のところへ。

悠は、芹那ちゃんのベルのサイトを見ていた。


「また嫌な書き込みでもあった?」

「そうじゃなくて…!」


悠は、モニターに映し出された書き込みを指さす。

『リホ』というユーザー名で書き込まれたコメントだった。


【返してください。
2月1日、ベルにバッグを盗られました。
お金を盗られるのはかまいません。
ですが、あのバッグの中にはプロポーズされた彼からもらった指輪もいっしょに入っていました。
彼のひいおばあさまの代から受け継がれている婚約指輪です。
2月20日、彼のお家で結納をかわします。
そこで婚約指輪がないと知られたら、きっと私は彼とは結婚させてもらえません。
なので、どうか指輪だけでもいいので返してください。本当にお願いします】
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