怪盗ベルにおまかせ!
わたしがウインクすると、悠はあきれたようにため息をついた。


「…わかったよ。でも、途中でぶっ倒れるのだけはごめんだよ」


そう言うと、悠はヘッドフォンをつけた。

ベルのイヤリング型インカムと連動しているヘッドフォンだ。


どうやら悠はやる気満々の様子。


その夜、わたしは久々に怪盗ベルになった。

マリンもいっしょに。


〈盗まれたものは、町外れのトランクルームに隠してるみたいなんだ〉

〈わかった。向かうね〉


わたしは雪がちらつく夜の街を駆け抜ける。


悠が指示したトランクルームに到着。

いくつもあるけれど、悠は偽ベルが使用しているトランクルームの番号まで調べ上げていた。


トランクルームの鍵は、マリンのピッキングで簡単に開きそう。

だけど今は、ある理由でマリンはこの場にいない。
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