怪盗ベルにおまかせ!
「じゃあ、どうしたらいいっていうの?」


わたしが尋ねると、悠はニヤリと口角を上げた。


「そんなの、これを試してみるいい機会じゃんっ」


そう言って、悠が背負っていたリュックから取り出したものは、…小さな赤いポーチ。


「もしかして、これって…」


わたしが顔をのぞき込むと、悠はうなずく。


「隠し部屋から持ってきたやつ」


不気味に微笑む悠。

とても悪い顔をしている。


「せっかくだから、スパイグッズを試してみようよ」

「…え!でもっ…」

「いいの?もたもたしてると引ったくり犯が遠くへ逃げちゃうかもよ?」


悠がチラリとわたしを横目で見る。

その視線が妙に刺さる…。


「今から向かえば、取り返せるんじゃないのかなー」


悠は棒読みでそんなことを言いながら、スパイグッズのポーチをまるでお手玉のように軽く上へ放り投げてのんきに遊んでいる。
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