怪盗ベルにおまかせ!
「…なんだよ!あのばあさん、金持ちそうに見えたのに、肝心の財布が入ってねぇじゃねぇか!」


男はイライラしながら、ハンドバッグを逆さに向ける。

男が上下に揺さぶるものだから、中身が地面に散らばっていく。


「…チッ!こんだけだけかよ!」


そう吐き捨て、近くにあったドラム缶を蹴る男。


残念ながら、いくら探してもおばあさんの財布はない。

わたしがすでに拾って返したのだから。


すると、あごに手をあてて少し考える仕草をする男。


「…まさか!転んだ拍子にあの場に財布をっ…」


男はようやく気づいたようだ。

あきらめて、このままハンドバッグを捨てて帰ってくれるかと思いきや――。


「くそっ…。そういうことなら、こんなもの…!」


男は上着の外ポケットの中に手を突っ込むと、中からなにかを取り出した。
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