怪盗ベルにおまかせ!
男の手に握られていたのは…ライター。


「こうなったら、証拠隠滅として燃やしてやる」


悔しそうな表情を浮かべながら、ライターの火をじっと見つめる男。

地面に散らばっている荷物の中には、きっとおばあさんが言っていたお孫さんからのプレゼントもあるはず。


あのまま燃やされてしまっては大変だ…!


ハンドバッグと散らばった荷物にゆっくりとライターの火を近づける男。


「待ちなさい!」


そのとき、わたしは柱の陰から現れた。


「だ…、だれだ…!?」


ギョッとした顔をして男が振り返る。

だけど、まぶしそうにして目を細める。


「…くっ!!逆光で見えねぇ…!」


わたしは西日が差し込む大きな窓を背にして立っていたため、男からではわたしの顔はおろか、シルエットしか見えないらしい。
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