怪盗ベルにおまかせ!
今回は、たまたま運がよかっただけかもしれないのに。


「だってわたしたち、どこにでもいるような普通の小学生だよ?そんなので、怪盗なんてやれるわけないよ」

「どこにでもいるような?両親が元スパイの小学生って、どこにでもいるものなの?」

「それは…」


そう言われたら、たしかに『どこにでもいるような普通の小学生』…ではないかもしれない。


「あのおばあさんみたいに、困っている人なら他にもいると思うけど?そういう人たちも助けてあげたら?」


悠がわたしの顔をのぞき込む。


目立つのは苦手なわたしだけど、悠の言うとおり『怪盗ベル』というもう1人のわたしになれば――。

陰から、困っている人たちを助けられるかしれない。


「やってみても…いいかもね」

「そうこなくちゃ!」


わたしと悠はハイタッチを交わした。
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