怪盗ベルにおまかせ!
「こっちはあたしに任せて!なんとか時間を稼ぐからっ」


わたしは転んだ拍子に派手に両膝を擦りむいてしまい、水道で傷口を洗ってくる。

――という設定で、集合に遅れるということを芹那ちゃんが先生に伝えておいてくれるようだ。


「でも、ミックスリレーが始まったら鈴ちゃんがいないってなっちゃうから、それまでには戻ってきてね…!」

「わかった!」


タイムリミットは、ミックスリレーが始まるまで。


わたしはさっそく、トロフィーを盗んだ2人組のところへ向かった。


「…ちょっと、早く逃げないと!」

「わかってるよ…!でも、こんなトロフィー持ってたら目立つだろ!」


なにやら口喧嘩する声が、この時間はだれもいないはずの校舎の裏に響く。


「トロフィーなんかいらねぇんだよ。ほしいのは、ここについているダイヤなんだ!」
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