怪盗ベルにおまかせ!
たしかに、ここでもたついていたところを見ると、計画性があるようなないような、プロと呼ぶにはおそまつではあった。


〈マヌケな連中だと思ってたから、ねえちゃんならトロフィーを取り返すのも楽勝だって予想はしてたし〉


悪い人たちとはいえ、悠に散々に言われちょっとかわいそう。


〈じゃあオレは、警察に通報しておくよ。指名手配犯が北川小学校にいるって〉

〈うん。お願いね〉


そのとき、わたし以外の足音が聞こえ、わたしはとっさに近くの木の上に身を隠した。

徐々に近づいてくる足音。


…おかしい。

生徒も先生も保護者も今はグラウンドにいるはずだし、こんな時間にこんなところにだれがくるっていうの。


わたしは木の陰からそっと様子をうかがう。


「たしか、こっちにきたはずなんだけど…」
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