君に恋した、忘れられない夏
五分後に昴もやってきて、たくさんの食べ物に目を丸くして驚いていた。


昴と一緒に食べようと思っていたけど、どうやら昴は食べてきてしまったばかりだったようで、結局私一人で全てを平らげた。




「そろそろかな」


「うん」




屋台のあった砂浜はなかなかの喧騒だったけど、ここの展望台から少し離れているからか、遠くに聞こえた。


ぼーっとしながら真っ暗な夜空を眺めていると、昴が私をじっと見つめていることに気づいた。




「…なんかついてる?」


「え?あ、違くて。今日の陽葵、なんだかいつもと違うから。可愛いね」




可愛いと言ってもらいたかったけど、いざ言われてみるとすごくドキドキして、顔が熱くなっていくのを感じた。




「す、昴はいつもかっこいいよね…!」


「あはは、何それ」


「本当だよ…!この十年間で、彼女とかできたでしょ?てか、今いたりして…」




そうだ。どうして考えていなかったんだろう。


私と違って昴にはもう付き合っている人がいたりして…。そうだったらどうしよう…。
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