君に恋した、忘れられない夏
「いないよ。できたこともないし、なんなら陽葵以外の仲良い女子なんていないからね」


「…え?本当?」


「うん」




にやけそうになる頬を両手で押さえて、なんとか我慢する。


あ、と昴が短く声を出し、それと同時にパーンっと大きな花火が一発打ち上げられた。



真っ暗だった夜空が、次々と華やかな花火で彩られていく。




「ねえ昴」


「ん?」




何回も言いかけて、結局いつも怖くて聞けなかった。




「どうして約束、守ってくれなかったの?」




何気なく、なんでもない顔して聞こうと思っていたのに、出た声はみっともなく枯れていた。


昴が私を真っ直ぐ見つめてきて、花火の大きな音がどこか遠くに聞こえる。




「…言えない」


「…え?」
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