君に恋した、忘れられない夏
それは予想していたどれとも違う返答だった。




「どういうこと…?」


「言えない」


「なんで…。私は別れた日から四年、夏になったらここに来てた。なのに昴は来てくれなくて、だから私も行くことをやめたんだよ…?昴は私と会いたくないんだ、私のことなんてきっともう忘れてるんだ、って思って諦めてた。だけど久しぶりに会って、昴がそんなことするわけないって、きっと何か理由があるんだと思ったのに、なんで教えてくれないの…?」


「…陽葵に、会いたくなかったから」


「…え?」


「本当は、会いたくなかった。このまま二度と会えなければいいと思ってたのに、なんで来ちゃったんだよ…」


「なんで…嘘だよね…?」


「嘘じゃない。陽葵が理由言えって言ったんでしょ。これが理由だよ」




我慢できなくなり、展望台から逃げ出す。


みんな頭上の花火に夢中で、泣きながら猛ダッシュしている私なんて気にもしていない。



嘘だと言ってほしかった。


きっと何か理由があると信じていたのに。どうして。




「あ…っ!」




夢中で走っていると足がもつれ、アスファルトに転がる。


擦りむいてしまったのか膝がじんじんと熱かった。
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