君に恋した、忘れられない夏
母さんがこの前「丈夫な体に産んであげられなくてごめんね」って言ってきたんだ。


母さんのせいじゃないのに。俺は大切な人を傷つけることしかできない。


こんな俺なんて、早く消えてしまえばいいのに。そう何度も思った。



だけどそんな時、いつも思い浮かぶのは向日葵のように眩しい陽葵の笑顔だった。


陽葵にもう一度会う。あの約束を果たす。その気持ちだけで俺は頑張れている。



陽葵は俺の生きる希望なんだ。


陽葵がいるから、今の俺がいる。陽葵のいない人生なんて考えられない。



陽葵にずっと伝えたかったことがある。本当は直接顔を見て伝えたかったのになあ。


あのね、陽葵。陽葵は俺の太陽だったよ。いつだって弱い俺の心を温かく包み込んでくれて、救ってくれる。


陽葵のコロコロ変わる表情も、俺を呼ぶ声も、泣き虫だけど強いところも、全部好きだよ。






「ふっ…っ、うああ…っ」




昴の手紙が涙で滲んでいく。拭っても拭ってもちっとも止まってくれない。


とめどなく溢れる涙をなんとか拭い、最後の一枚を読み上げる。



最後の一枚はこれまでの二枚と違ってたった一文、七文字だけだった。
< 29 / 36 >

この作品をシェア

pagetop