君に恋した、忘れられない夏
「やだ…やだ…っ!行かないで昴…」




ああ、笑ってお別れを言いたかったのに。昴にこんなことを言っても困らせるだけなのに。


…わかっているけど、離れたくない。


やっと再開できたのにもう二度と会えなくなるなんて。




「陽葵、泣かないで。陽葵の笑顔が俺は大好きだから。会いにきてくれてありがとう。俺を見つけてくれて、ありがとう」




悲しそうに笑う昴も、無理して笑っていることに気づく。


…辛いのは、私だけじゃない。




「…昴と会えなくなってからも、私は昴のこと忘れたことなんてなかった。ずっと忘れられなかった。昔も今も、大好きだよ。これからもずっと大好き」




だから私も、昴が大好きだって言ってくれた笑顔でちゃんとお別れをしよう。




「生まれ変わったら、きっとまたここに来るから。だから、それまで待っててくれる?」


「当たり前でしょ。私この先、昴以外好きになれそうにないし。その時は、ちゃんと責任取ってね」


「あはは、任せてよ」




昴と触れられないけど小指を絡め合い、思い出がたくさん詰まったこの場所で二回目の口付けをする。


目を開けた時にはもう、昴はこの世界から消えていた。
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