君に恋した、忘れられない夏
眩しい夏の日差しが容赦なく照りつけてくる中、やっと頂上まで辿り着く。




「え…?」




てっきり人がいないと思っていたが、先客がいて私の思わず漏れた声にゆっくりと振り向いてきた。


風でサラサラの黒髪が踊っている。少し長めの前髪が目に入ってしまいそうだ。



そんなことよりも、彼の強くて真っ直ぐな綺麗な瞳から、目が離せなかった。私はこの目を知っている。




(すばる)…?」




久しぶりに呼んだその名前は、みっともなく掠れてしまった。




「…陽葵?」




十年振りに会った昴は、当然ながら成長していて、あの頃の面影はあるがびっくりするくらいかっこよくなっていた。


声も、全然違う。私の知っている昴じゃない。




「な、なんでここに…」


「なんでって、俺の地元だからね」


「あ、そ、そっか…」
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