ゴーストと呼ばれた地味な令嬢は逆行して悪女となって派手に返り咲く〜クロエは振り子を二度揺らす〜
二人は様々な屋台の料理を食べていった。
串焼き、フィッシュ&チップス、ミートパイ、ドーナツ……ユリウスが宣言した通り、多くのものを食べていった。「もう食べられないわ」と、彼女が降参するほどに。
彼は、最初は彼女に好きなだけ食べさせてから、余った分を全て平らげた。
二人のあいだには笑いが絶えなくて、クロエは久し振りの楽しいひとときを過ごしたのだった。
(いつまでも、こんな時間が続けばいいのに……)
屋敷に戻ると、また辛い時間が押し寄せて来る。それでも耐えられるのは、ユリウスの存在が大きかった。
それは無自覚に、どんどん膨れ上がっていっていたのだ。