ゴーストと呼ばれた地味な令嬢は逆行して悪女となって派手に返り咲く〜クロエは振り子を二度揺らす〜
「恩情…………?」
「そ。あたくし、どうしたらあなたが幸せになるか、考えてみたの。やっぱり、母として、娘にはやりたいことをやらせてあげたいもの。それで、そんなに殿方が好きだったら、娼館で働くのが一番じゃないか、って思ったの」
「…………」
クロエは、もはや声を上げる気力もなかった。
「娼館ならお異母姉さまにぴったりじゃなくて? まさに天職でしょう! だって、あんな美丈夫をたらしこむことができるんですもの!」と、コートニーがせせら笑う。
「だから旦那様に相談をして、あなたを娼館へ行かせることにしたの。でも、そこで働くとなると、貴族籍なんか邪魔にしかならないでしょう? だから籍も抜けさせることにしたのよ。プロとして、貴族の身分は枷になることでしょうから」
「良かったわね、お異母姉様。しがらみがなくなって、これで心置きなく大好きな男遊びができるわよ!」
「話はクリスとコートニーから聞いてある。まさかお前がそんな娘だったとはな。ま、あの女の娘なら然もありなん、か……」