ゴーストと呼ばれた地味な令嬢は逆行して悪女となって派手に返り咲く〜クロエは振り子を二度揺らす〜
(もっと……派手に生きなければ……!)
一方、クロエの意図は、侍女の想いとは少し違うところにあった。
逆行前の彼女は、清楚系のドレスを好んでいて、露出も極最小に、髪型もメイクもとっても控えめだった。
それに引き換え、クリスとコートニーはゴテゴテと着飾って、ぎょっとするくらいの華美な様式を好んだ。
母娘は非常に目立って、遠くから見てもすぐに分かった。それは悪い意味で、だが。
運命を変えるには、まずは見た目からだ。ドレスという存在感で、あの二人に負けてはいけないのだ。
もっと派手に。誰からも一目で覚えられるように。
しかし、悪趣味は厳禁だ。二人のように「下品な平民上がり」などと陰で笑われては本末転倒である。
華美に、でも上品に、美しく。
侯爵令嬢としての矜持を凝縮したような、派手なドレスを。
復讐を誓う女に相応しいドレス……母の喪に服すような、漆黒のドレスを。
(格の違いを思い知らせてあげるわ……!)