ゴーストと呼ばれた地味な令嬢は逆行して悪女となって派手に返り咲く〜クロエは振り子を二度揺らす〜
35 魔法が使えるようになりました!
「………………」
「………………」
あまりの衝撃に、クロエもマリアンも目を剥いて、身体が強張り少しも動けなかった。
星が爆ぜたような音と、目を焼き尽くすような閃光。
そして、静寂に目を開けると、部屋の中は巨人が暴れたみたいに木っ端微塵になっていて、強い魔力の残滓がきらきらと朝露のように輝いていた。
「お、お嬢様……」しばらくしてマリアンが震える声を出す。「魔法が……」
クロエはごくりと息を呑んだ。まだ両手がびりびりと痺れていて、手の平がじんわりと暖かかった。
「私の……魔法…………?」
信じられなかった。
でも、たしかな手応えを感じた。
自分の中に魔力が巡っていて、それは洪水のように溢れるくらいの量であると。
「は、はは……」
乾いた笑いがこぼれる。あんなに努力しても全然発動できなかった魔法が、こういとも簡単に……。
(遅過ぎるわよ……っ!)
心の中で悪態をついた。
なぜ、今なのだろうか。
もっと早く魔法が使えていたら、あんな悲惨な結果にはならなかっただろう。父も自分に対して冷淡にならなかっただろうし、継母や異母妹からも魔法を理由に虐遇なんてされなかっただろう。
胸の中に黒い感情が渦巻く。
しかし、それもすぐに晴れた。
だって、今の自分は魔法が使えるのだから。
(これで……コートニーに負けない……!)
魔法が使えるようになったことによって、自分の不利な点は取り除かれた。これは大きな変化だ。
ならば、あとは全力で戦うだけだ。
「………………」
あまりの衝撃に、クロエもマリアンも目を剥いて、身体が強張り少しも動けなかった。
星が爆ぜたような音と、目を焼き尽くすような閃光。
そして、静寂に目を開けると、部屋の中は巨人が暴れたみたいに木っ端微塵になっていて、強い魔力の残滓がきらきらと朝露のように輝いていた。
「お、お嬢様……」しばらくしてマリアンが震える声を出す。「魔法が……」
クロエはごくりと息を呑んだ。まだ両手がびりびりと痺れていて、手の平がじんわりと暖かかった。
「私の……魔法…………?」
信じられなかった。
でも、たしかな手応えを感じた。
自分の中に魔力が巡っていて、それは洪水のように溢れるくらいの量であると。
「は、はは……」
乾いた笑いがこぼれる。あんなに努力しても全然発動できなかった魔法が、こういとも簡単に……。
(遅過ぎるわよ……っ!)
心の中で悪態をついた。
なぜ、今なのだろうか。
もっと早く魔法が使えていたら、あんな悲惨な結果にはならなかっただろう。父も自分に対して冷淡にならなかっただろうし、継母や異母妹からも魔法を理由に虐遇なんてされなかっただろう。
胸の中に黒い感情が渦巻く。
しかし、それもすぐに晴れた。
だって、今の自分は魔法が使えるのだから。
(これで……コートニーに負けない……!)
魔法が使えるようになったことによって、自分の不利な点は取り除かれた。これは大きな変化だ。
ならば、あとは全力で戦うだけだ。