ゴーストと呼ばれた地味な令嬢は逆行して悪女となって派手に返り咲く〜クロエは振り子を二度揺らす〜



「おい、どうしたんだっ――クロエっ!?」

 そのとき、パリステラ侯爵……クロエの父、ロバートが血相を変えてやって来た。
 彼は、娘の部屋のあまりの惨状に目を剥く。

(なんだ、この凄まじい魔力は……!)

 高魔力保持者の彼には、部屋の中の異様な高濃度の魔力をすぐさま感じ取った。
 それは滅多に遭遇しないような、研ぎ澄まされたものだった。

 その発生源は――、

「クロエ、お前の力なんだな……?」

 父は驚きを隠せない様子で、娘を見やった。

「………………」

 しかし、娘は父の質問には答えずに、威嚇するように睨み付けるだけだった。
 剣呑な空気が親子の間に流れる。父は困惑して、娘は胸に怒りをたぎらせて。
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