ゴーストと呼ばれた地味な令嬢は逆行して悪女となって派手に返り咲く〜クロエは振り子を二度揺らす〜

36 始動です!

 クロエは早速パリステラ家の今後の運営について、家令たちと話し合った。

 交渉の結果、母の仕事を引き継ぐにあたり、まずは簡単な書類仕事から始めることになった。
 それに慣れたら徐々に実務も増やして、数ヶ月から半年後には、完全に彼女が中心の体制に移行することに決まったのだった。

(そんなに悠長に待てないわ……)

 彼女は目覚めた翌日から、精力的に執務をこなした。早く家令たちに能力を認めてもらって、屋敷を任せられるようにするのだ。

 仕事には、逆行前に図書館で蓄えた知識が、大いに役に立った。
 あの頃は時間だけはたっぷりあったので、魔導書以外にも多種多様の書物を貪るように読み漁っていたのだ。

 その中には、政治、経済、法律などの内容の本もあった。それらは彼女にとって難しい内容も多かったが、ユリウスに教えてもらって、基礎的な部分は学び終えていた。

 だから、家令たちの説明もすんなり理解できて、難なく書類仕事に取りかかることができた。
 これには彼らも驚いて、既にこんなに実力があるのなら……と、当初の予定より早く他の仕事もやらせてもらえることになったのだ。
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