ゴーストと呼ばれた地味な令嬢は逆行して悪女となって派手に返り咲く〜クロエは振り子を二度揺らす〜
それより、これからどう動くか。そのことをよく考えなければ。
屋敷のことや魔法のことで頭がいっぱいで、スコットをどう闇に葬るか、具体的な計画はこれから決めるところだった。できれば、彼が愛し合うコートニーと共に沈めたい。
「そんな……。君のためなら、花なんていくらでも送るよ」スコットは柔和に微笑んでからおもむろにクロエを抱きしめた。「本当に無事で良かった、クロエ」
(おぞましい……)
その瞬間、クロエの全身が粟立った。キンとつんざくような鋭い耳鳴りがして、身体が強張る。
吐き気がするくらいに、気持ち悪かった。
――ただの、ゴーストだろう?
それは、呪いの言葉のように、彼女を悲しみのどん底まで深く突き落としていったのだ。