ゴーストと呼ばれた地味な令嬢は逆行して悪女となって派手に返り咲く〜クロエは振り子を二度揺らす〜
そんな中で、だんだんと彼女の中にある違和感が生まれていった。
(私の力は、本当に、聖女の力なの……?)
たしかにクロエの魔法は、人々の傷を癒す効果があった。
実際に、怪我や病気が治って、多くの人間から感謝された。
しかし、それは聖なる力などではない。
自らが魔法を発動させている最中に、彼女はひしひしと感じていた。
魔力の高い彼女は、魔力感知能力も他人より強かった。
自身の魔法は、教会や神官の神聖な力とは別の種類のものだと感じたのだ。なにか、違う流れのようなものを感じるのだ。
でも、それが何なのか説明できない。
毎日のように原因を考えていたが、なかなか答えまで辿り着けなかった。