ゴーストと呼ばれた地味な令嬢は逆行して悪女となって派手に返り咲く〜クロエは振り子を二度揺らす〜
(まさか……!?)
しばらくの間、呆然と突っ立っていた彼女は、はっと我に返る。
そして慌てた様子で、もう一度両手でペンを握って、魔力を注いだ。
手の平はまたもや淡く光って、やがて消える。
おそるおそる、緊張で息を止めながら、両手を開いた。
「っっ……!!」
息を呑んだ。
どっと全身から汗が湧き出て、身体が熱くなる。
新品の如く綺麗にもとの形に戻ったペンは、今度はさっきクロエがボキリと真っ二つに折った状態に再び変貌していたのだ。
ごくり、と喉が鳴った。