ゴーストと呼ばれた地味な令嬢は逆行して悪女となって派手に返り咲く〜クロエは振り子を二度揺らす〜
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それからのクロエは、相変わらず屋敷の運営や、聖女の務めに追われる日々が続いていた。
逆行前の――スコットとまだ良好な関係を築いていた頃は、彼とは最低でも週に二日ほどは会っていた。
しかし今は、多忙を理由に面会を断って、週に一度会えればいいほうだった。
それも短時間で終わらせて、さっさと解散していた。
彼女は、今ではもう婚約者に対して愛情なんて少しも抱いていなかったし、むしろ、嫌悪感のほうが大きかった。
それに、この前みたいに瞬間的に彼を拒絶するような失態をおかす可能性は、極力減らしたい。だから、なるべく会いたくなかったのだ。