ゴーストと呼ばれた地味な令嬢は逆行して悪女となって派手に返り咲く〜クロエは振り子を二度揺らす〜


 クロエは淡々と準備を進める。
 努力の結果、屋敷は既にもうほぼ彼女が仕切っていたし、聖女としても精力的に活動して、外にも人脈を広げた。そんな娘のことを父親も大いに自慢をしていて、彼女の立場は確固たるものになっていっていた。

 ――見られたい。

 しかし、どんなに交流の輪を広げても、彼女の渇望は満たされることがなかった。
 まるで心にぽっかりと穴があいたかのように、いくら水を汲んできても流れ落ちて、虚しさだけが残るのだった。




 そんな慌ただしい毎日を送っている中、いよいよ運命の日がやって来た。

 母が死んで半年後――父ロバートが再婚をして、クリスとコートニーをパリステラ家に迎え入れる日が。


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