ゴーストと呼ばれた地味な令嬢は逆行して悪女となって派手に返り咲く〜クロエは振り子を二度揺らす〜
「まぁっ、あなたがクロエ? とっても綺麗なお嬢さんだこと。あたくしはクリス。今日からあなたの新しい母親よ。こちらは娘のコートニー。仲良くしてあげてね?」
クリスはわざとらしくしなを作る。父親は前と変わらずに嬉しそうにでれでれと鼻の下を伸ばしていて、馬鹿馬鹿しくて思わず吹き出しそうになった。
「ご機嫌よう、お継母様。そして――」と、クロエはちらりと異母妹を見る。
「ほら、コートニー。あなたもお異母姉様にご挨拶なさい?」
クリスが声を掛けると、コートニーは母親の陰からぴょこんと出てきて、ペコリとあどけないお辞儀をした。
「あたしはコートニーです。今日からよろしくお願いします、クロエお異母姉様」
「クロエよ。よろしくね、コートニー」と、彼女が微笑むと異母妹はふいと視線を逸らしてまたぞろ母親の後ろへ引っ込んだ。
(このやり取りも同じね……)
クロエはふっと軽く息を吐いた。本当に過去に戻って来たのだと、改めて実感をした。
でも……これからは違う。