ゴーストと呼ばれた地味な令嬢は逆行して悪女となって派手に返り咲く〜クロエは振り子を二度揺らす〜

「あら、今度はどんな方?」と、クロエは興味なさそうに訊く。クリスとコートニーは気になるようで、注意深く聞き耳を立てていた。

「それが、聞いて驚け! なんとキンバリー帝国の第三皇子のローレンス殿下からだ! 凄いだろう?」と、ロバートは得意げに言った。

「まぁっ!」クリスは思わず驚きの声を上げる。「帝国の皇子様なんて、凄いじゃない!」

「私も驚いたよ。まさか、キンバリーから縁談が来るだなんて。どうた、クロエ? お前が望むのなら、婚約者を挿げ替えても構わないぞ」

 ロバートは上機嫌だった。
 大陸の半分以上を支配するキンバリー帝国の皇族と縁続きになれるなんて、パリステラ家の歴史上、初の快挙だ。
 ……もしかすると、万が一だが、偶然が重なれば娘が帝国の皇后になる可能性だってある。
 たしかにジェンナー公爵家も魅力的だが、帝国皇室の威光に比べたら雲泥の差だ。 
< 224 / 447 >

この作品をシェア

pagetop