ゴーストと呼ばれた地味な令嬢は逆行して悪女となって派手に返り咲く〜クロエは振り子を二度揺らす〜
クロエの思惑通り、父ロバートはコートニーに落胆した。
己の血を受け継ぎ、彼自身も娘の中にたしかに大きな魔力の塊を感じていたのに、全く発動できないなんて。
優しい姉のクロエは「まだ初日だから仕方ないと」擁護してきたが、あれだけ巨大な魔力を宿しているのに、操作できないとは。こっちのほうこそ出来損ないだったのか……?
眉根を寄せてうんうんと考え込んでいる彼に、クロエがそっと囁いた。
「偉大な魔力を持つお父様の娘ですから、きっとコートニーもすぐに魔法が使えるようになりますよ……」
その言葉が、彼には妙に心に引っかかった。
自分の子供なのに、魔法が使えないことなどあり得るのか、と…………。