ゴーストと呼ばれた地味な令嬢は逆行して悪女となって派手に返り咲く〜クロエは振り子を二度揺らす〜



「手間をかけて済まないな、クロエ」と、ロバートは呆れたように去っていく妻を見つめる。

「仕方がありませんわ。お継母様は平民出身ですもの。……そうですね、遅くとも私が嫁ぐまでにはできるようになれば良いのでは?」

「おお、そうだな……」

 ロバートは深いため息をついた。
 魔法が使えないコートニー、屋敷の運営もできないクリス。今や頼れるのはクロエだけだ。

 まさか出来損ないだと思っていた子が、こんなにも素晴らしい能力の持ち主だったとは。
 やはり、魔法に長けた一族の血を持つ前妻と婚姻を結んだのは、正解だった。

 それからは、ロバートの命令でクリスとコートニーへの指導は、クロエを中心に行うことになった。
 出来が悪く、なかなか進まない淑女教育にロバートは頭を抱えた。

 特にコートニーは、勉強もマナーもてんで駄目で、更には魔法も使えず、父の愛情はだんだんと冷めていっていたのだった。

< 232 / 447 >

この作品をシェア

pagetop